【症例報告】犬の皮下腫瘤切除手術
2024/09/30/
個体情報
種別 犬(雑種)
性別 オス(去勢済み)
年齢 5歳6ヶ月
元気 あり
食欲 あり
主訴
右肩部前方のしこりについてのセカンドオピニオン
前医でおそらく脂肪腫(良性の皮下腫瘤)と言われ経過観察をしてきたが、若干拡大傾向がある。
インフォーム
良性であってもこれ以上拡大すると歩行障害が出る可能性、拡大傾向が続くかどうかはわからないこと、しかし既にかなり大きく、大きくなればなるほど手術の負担も増えることをご説明しました。
また、脂肪腫の場合、皮膚や筋肉と遊離していて切除が容易なことも多いのですが、今回の症例は触診上、皮膚および深層の筋肉との癒着が予想されました。(筋間脂肪腫・浸潤性脂肪腫)
そのため、
①完全に取り切れない可能性(取り切れない=減容積手術になると再発する可能性が完全切除より高い)
②筋肉に入り込んでいた場合は術後に歩行異常が出る可能性
③術前にCT検査(検査センターや大学病院にて)を行い腫瘤の形や筋肉への浸潤具合等を確認した上で手術計画をたてることがベスト
という3点をお伝えしました。
話し合いの結果、CTは撮らずに侵襲性の低い減容積手術を行うことになりました。
検査・手術
麻酔下で細胞診検査を行い良性の脂肪腫と仮診断しました。
肩部皮膚を切開し腫瘤を確認。予想通り、皮膚および上腕三頭筋・三角筋に癒着していたため、筋肉を損傷しない範囲で切除、摘出しました。
可能な限り死腔を埋め皮下縫合、皮膚縫合を行い終了しました。
<手術前_肩部_皮下腫瘤(10×7×7cm)>
<手術中_肩皮膚と癒着>
<手術後_肩縫合部>
<切除したもの>
経過
術後2日ほどは患肢をかばうように歩いていたが3日目くらいからはしっかり歩いているとのご連絡をもらいました。
もともと毎日3時間お散歩をするという運動量の多い子でしたので術後の安静がストレスになり難しく、ある程度のお散歩をしていた為、術後5日目の再診時には漿液貯留がありましたが消炎剤を継続し14日目に無事抜糸を行いました。
飼い主様と相談の結果、病理検査は実施せず、今後再発がないか経過を見ていく予定です。
※脂肪腫はその子の体格や脂肪の量には関係なく発生する良性腫瘍で、原因は不明です。
若い子から高齢の子まで犬での発生が多く、発生した場所や大きさなどを考慮し切除手術や経過観察を行います。
江東区有明にある有明動物病院・有明エキゾチック動物病院。
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