症例紹介

case

【症例報告】犬の陰睾丸・停留睾丸(精巣)

2025/01/18/

個体情報

種別 犬(ミニチュアダックスフンド)

性別 オス

年齢 1歳

主訴

他院にて腹腔内陰睾疑いと診断され、当院にて去勢手術を行うため来院されました。

検査

右睾丸は皮下に触知できましたが、左睾丸は触知できず、腹腔内陰睾丸が疑われていました。腹腔内陰睾丸の場合は、お腹を開けて睾丸を摘出しなければならず、ワンちゃんの負担になってしまいます。

睾丸そのものが小さい場合は、皮下にあってもなかなか触知による判断が難しいケースもあり、時にエコーを併用して判断します。

手術

今回のケースは左の鼠径部にうっすら何かが触れたり触れなかったりととても曖昧でした。念の為、鼠径部の皮下を切開し、皮下を精査したところ精管を発見し、その精管を辿って腹腔内にあった睾丸(精巣)を摘出する事ができました。

胎生期(母親のお腹の中にいるとき)には腎臓の後ろあたりにあった精巣は、徐々に尿管にそって膀胱の方へ移動し、最終的には膀胱を通りこして、陰嚢という袋に包まれて体外に収まります。

なぜ移動するのか?それは、精子にとって体内環境が高温であり、体内に精巣があると精子がうまく育たないためです。精巣を体外に移動させて温度を下げてあげることで、精子が正常に作られるようにしているのですね。
ところが、男の子のワンちゃんのの1~2%で、この精巣の移動がどこかのタイミングで妨げられ、精巣がお腹の中に残ってしまうことがあります。

この状態がはじめに述べた「陰睾」というものです。陰睾は、一般的に去勢手術を考えるタイミングでの受診時に、陰嚢を触診し精巣が触れないことをもって診断します。先に、精巣は1~2ヶ月で陰嚢内に収まると述べましたが、中には体外に降りてくるのが遅い子もいるために、診断ができるのは生後半年以降と言われています。

陰睾が直ちに体調不良につながることはなく、元気や食欲に影響しませんが、獣医師に陰睾と診断された場合は早めの去勢手術を強くおすすめします。それは、体内に残った精巣をそのままにしておくと将来その精巣が腫瘍化するリスクが13倍近く増加すると言われているためです。

睾丸がきちんと降りてないワンちゃん、ネコちゃんがいましたら、まずは動物病院でしっかりと診てもらいましょう。

 

江東区有明にある有明動物病院・有明エキゾチック動物病院。

江東区有明・青海・豊洲・東雲・塩浜・辰巳・枝川、中央区勝どき・晴海・日本橋、港区台場から多くの方にお越しいただいております。

有明動物病院は、ホームドクターとしても、セカンドオピニオン先としてもご来院可能です。

お困りの方は、お気軽にお電話または 公式LINEにてお問い合わせください。

前のページに戻る